Q&A

2007年8月28日 (火)

日本人の美意識

昨日は移動の疲労によりブログをアップできず大変失礼いたしました。
什器の搬入のために立川まで行ってきたのですが、
移動と最後の追い込み真っ只中の現場の殺気立った雰囲気に
すっかりやられてしまったのです。

仮囲い1枚隔てたあの空間の中に、
あれだけの人数の職人が昼夜を問わずピリピリしながら作業しているなんて、
道行く人は考えもしないだろうなぁ。(僕自身も想像していませんでした...)
まぁ、什器の設置という任務は無事に果たしてきたわけであります。

さて、連日にわたり取り上げられている「階段の疑問」ですが、
困ったことに少々強引なフリによって、僕も答えざるを得ない状況になっております。
そこで手元の書籍でざっと調べてみたのですが、
あまりはっきりとした回答は得られませんでした。

ただ、階段には「梯子段」という通称があったようで、
2階の使用頻度の少なさから、2階へのアクセスは梯子が主であったようです。
それでも裕福層は2階に茶席や書斎を設けることも多く、
梯子ではなく階段を設けていることが多いとのこと。
要するに、「梯子を歩いて上り下りできるようにしたのが階段」というわけです。

急勾配なのは建物の構造上の問題かと思います。
今日の住宅のように廊下はないので、
どうしても部屋の中に階段を設ける必要があった。
そうすると土屋君も述べたとおり、急にならざるを得ない状況が発生します。

興味深いのは、古い民家では階段を押入れの中に設けているケースもよくあり、
一見したところ階段の存在自体に気付かないこともあるそうです。
例外的なのは皆さんもご存知、箱階段。
家具をそのまま階段にしてしまおうという発想です。

このように概観すると、昔の建物の階段が急勾配である謎は、
2階の使用用途や頻度が大きな要因として考えられます。

しかしながら一方で、日本人は縦横の線を基本とする和室の空間に対して、
斜めの線である階段を持ち込みたくなかったとも考えられませんかねぇ?
和室の美しさはピシッと通った柱や長押、天井、畳のラインであって、
それらの配置の中にある「間」の空間がミソだったりします。
僕なんかは理論的な回答よりも、真っ先にこっちを思ってしまいます。
そして、そのような美意識の元に造られた「箱階段」は美しいと思うのであります。

金石健太

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2007年8月27日 (月)

西山質問箱

こんにちは、西山です。
最近寄せられた2つの質問に答えようと思います。

質問その1
bunka人の部ログにもありましたが、
先日の瓦灯ワークショップの時のこと、
我々修景事業にもひとつのミッションが与えられていました。
それは、
界隈見学を終えた小学生たちに、
写真館で、瓦と土壁について説明するというもの。

当日まで何を話していいのやらと悩んだ挙句、
土壁については、
 ・小舞の両側に土を塗りつけて、土壁となること。
 ・小舞は、竹と葦と縄からできているということ
 ・小舞の材料それぞれは簡単に折れたり切れたりする弱いものだけど、
  弱いものを組み合わせて強い壁をつくるという
  昔の人の工夫が、そこにはあるということ。

瓦については、実際に瓦を手にとってもらいつつ、
 ・写真館の屋根には、3000枚くらいの瓦が乗っていること
 ・瓦一枚一枚は小さなものだけど、小さなものを組み合わせて、
  大きな屋根ができていること。
 ・いぶし瓦は、苔が生える。
  そしてそれが、僕がいぶし瓦を好きな理由だってこと
を伝えました。

そこで、僕の説明を聞いていた一人の小学生から質問がありました。
それは、
 弱いものを組み合わせて強い壁をつくるという説明に対し、
 「なんで、つよいものでつくらないの?」
というもの。
その場では一応回答をしましたが、どうも不完全燃焼ぎみだったので、
ここで改めて答えたいと思います。

回答その1
まず、昔は強いものが簡単には手に入らなかったということ。
基本的に自然のものを、あるていどそのままの形で利用せざるを得なかったため、
容易に手に入れることができ、かつ強い素材というのは、なかった。

回答その2
弱い素材を巧みに組み合わせ、つくられている土壁は、
放っておいても、そう簡単に壊れることはないが、
いざ壊そうと思えば、ハンマー一つで、壊すことができる。
しかし、強い素材でつくったものは、強い力をもってしか、壊すことができない。

回答その1が、最大にしてほぼ唯一の理由だとは思いますが、
回答その2のことっていうのは、これからの建築のヒントになる気がします。
うまくいえませんが、そんなふうに思います。
 
 強ければいいってものじゃない。
 これからは、壊すときのことも考えないとね。

そんなことを、あのときの小学生に、伝えられたら良かったと思います。

質問その2
「ナゼ、昔の階段はあんなに急なのか?」
先週、土屋君も答えていましたが、文化事業部からの質問です。
いろいろ考えた挙句、僕がたどり着いた結論はこちら。

回答
確かに、今の感覚からすれば、「急」だが、
昔の人は、あの階段を、「急」だとは思っていなかった。

つまり、あのくらいの勾配が、当たり前だったのではないかと。
みんながあれを当たり前だと思っていた。
だから、急な階段は、急なままだった。

以上。
なんの根拠も無い仮説であります。
いよいよ、結論は明日。
こうご期待!

P1020160
実家に帰ったら、セミの抜け殻だらけでした。
西山哲雄

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