信州の建築

2010年7月20日 (火)

路上観察@nagano vol.1

こんにちは、にしやまです。
8回目を迎えた大イベント「小布施見にマラソン」
も無事に終了しました。

全国各地から小布施にお越しいただき、ありがとうございました。
事務局にかわり、勝手に御礼申し上げます。

さて、我々も前々日あたりから準備に動き回っていたのですが、
そんななか見つけたのがこちら。

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「純粋露天風呂2010」

これが壁に囲まれた浴室のなかの光景であれば
なんの違和感もありませんが、
これは正真正銘の外です。
見えている壁は、外壁です。

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すこし引いた絵です。
右のほうには、玄関とおぼしきドア。
浴槽の上には屋根があり、雨はしのげるようになっているので
厳密に言えば「露天」ではありませんが、
立派な外風呂です。

それにしても・・・
内にあったものを外にだしただけで
これだけのインパクトです。

巷には様々な意匠を凝らした露天風呂が溢れるなか、
この、なんの外連味もない、いさぎよい風体。
天晴れです。

さらに驚きなのは
この建物が国道に面しているということ。
私がこの写真を撮った場所がまさに、国道の歩道ですので、
かなり人通りと車通りの多い場所から丸見え状態です。

いったいどんな使われ方をしていることやら・・・。

西山哲雄

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2010年4月15日 (木)

かべについてのおぼえがき

最近また、古い壁と格闘していた
西山です。

そんななかで気づいたことがあるので、
覚え書いておきます。

漆喰の壁を塗り替えようと、既存のはがれかかった漆喰を
剥がしていてきづきました。

 漆喰の継ぎはぎは有り得ない

と。

どういうことか?
こちらの写真を見ていただくのが早いかと。

001_2
こちら、幟の広場の通称「留蔵」
古い荒壁と新しい補修とが
なんともいえないパッチワークとなり、
そこに長い年月の蓄積を感じさせ、
この場の景観に一役かっています。

私が気づいたのは、この「漆喰版」は有り得ないということです。

考えてみてください。
漆喰塗りの蔵を
同じように部分補修したとするならばそれは、
この土蔵と同じような空間の質を
周囲に提供することができるのだろうかと。

おそらく無理だろうと思います。

土壁仕上げと漆喰仕上げ
最後に漆喰を塗るかどうかという些細な違いに思えますが、
土壁と違い漆喰は
歴史の蓄積を感じさせにくい素材であると言えそうです。

漆喰は強固ですが、
補修が必要となるときには、
壁はひび割れ、一部が剥がれ落ち・・
という状態になります。

土壁のように、

 すこしずつ表面が風化していき、深い陰影を落すようになる

というわけにはいかないのです。

ですからその一部だけを補修したとしても、
補修した漆喰壁以上のものにはならず、
それならば一面ごと見切って、
既存の漆喰を全て剥がして塗り直すことが、最善であろうと。

たとえ、その部分以外はまだまだ壁として機能しているとしても
剥がさなければならないのです。

西山哲雄

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2010年3月 2日 (火)

分解体

壊しておぼえることがある。

そう思うにしやまです。みなさんこんにちは。

まさに今の我々がそうですが、
一軒の民家を壊しながら、
様々なことを学んでおります。

大きな力でぐしゃっとしてしまうのではなく、
小さな力(主に人力)で組み上げたものをほどくように
壊しているので、
余計にいろいろなことがわかります。

車や電車では気づかない風景に
歩いていると気づくという感じに似ているかもしれません。

そもそも、
つくるよりも壊すほうが簡単で、
技術を伴わなくても、それなりに出来てしまいます。

我々に壊せるのだから、大抵の素人の人でも
大丈夫だと思います。

それに、
古民家のような建物を現代において作ろうとすると、
コストや法律や技術の問題などによって、
本物と同じようにはなかなかいきません。

・・・・・

今、古民家はどんどん壊されています。

現代ではつくることのできない建物が
壊されていくのは大変悲しいことで、それを
どうにかとめていくことが我々の仕事ではありますが、
古い建物のつくりかたを学ぶには、
またとないチャンスでもあるわけです。

如何ともしがたい理由で壊されてしまう家があるとすれば、
せめて何かを引き継いでいきたいと思います。

 壊すことでしか学べないことがある

とするならば、それを受け継いでいくことも
大事な役目なのかもしれません。

2010
実家の畑。特に意味なし。

西山哲雄

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2010年1月26日 (火)

こわすことが、つくること。

こんにちは、にしやまです。

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解体中の民家

土壁を落としていくと・・・中から木舞がこんにちは。

落とした土壁は、水を加え練り直して、
ここに新たに建つ建物に、塗られることになります。

土壁を再利用することは、リサイクルによってゴミを減らす
ということもありますが、
実は、古い土壁を練り直したベトのほうが
新しいベトよりも材料として優れていという面があるのです!

しかもその方法も、水を加えて練り直すだけという単純さ。
ベトはすごいです・・。

ですから今我々は
壁を「こわす」作業をしているのですが、
「こわす」と同時に、
新たな(優れた)土壁の材料を「つくる」ことをしているわけです。

誇りまみれになりながら
バールや金槌で細かく叩きながら土壁を落としていく作業は
非常に単調なもので、傍から見ればただの解体工事にしか
見えないと思いますが、
実はとても創造的なことが行われているのです。

西山哲雄

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2009年11月24日 (火)

モノの縁(エッジ)観察日記 ~その1~

こんにちは、電車の車内で爆睡し、
大胆にヨダレを垂らしていた金石です。

先日、気持ちの良い陽気に誘われて、
家族で善光寺へお参りに行く機会がありました。

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最近、「モノの縁(エッジ)」に興味津々の私は、
ついつい信仰心を忘れ、
あれこれと脇道に逸れては素材を観察しておりました。
この日も石畳に夢中になり、
ずっと下を向いて参道を歩くという始末...

Img_4010

善光寺参道の石畳です。
ノミで切り出されたであろうこの敷石たちは、
多くの参拝者がこの上を歩いたおかげで、
今や磨きをかけたような、
つるっとした表情になっています。

で、しばらく歩くとこんな石が目に飛び込んできました。

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参道と自動車用の道路が交差する箇所の舗装です。

私の撮影した写真でもわかるくらい、
素材の深みの違いは明らかです。
もちろん、積み上げてきた年月の差は歴然ですし、
両者に優劣をつけることにはあまり意味がないようにも思います。

でも、、、

「何かが違う」という心の中の直感は拭いきれません。

そこで私、よく両者を観察してみました。

で、結論。
石の表面の素材感の違いはさておき、
両者の目地の違いは考察の余地あり。

さすが「モノの縁(エッジ)」に興味津々な男。
目の付け所がマニアックです。

こうして改めて比較してみると、
目地の処理って案外全体の雰囲気に及ぼす影響が
大きいようにも思えます。

言うまでもないと思いますが、
前者の方が遥かに深みが感じられます。

建設業界に身を置き、
あたりまえのように思っていた「目地」の処理ですが、
善光寺の石畳はそんな「あたりまえ」を
見事にぶっ飛ばしてくれたのでありました。

金石健太

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2009年11月 4日 (水)

たたく、たたく

こんにちは、西山です。

先日、三和土を施工しました。

それも、「たたきもどき」ではなく、本物の「たたき」
左官職人にやり方を教わり、文字通り、たたいてきました。

三和土と書くくらいなので、材料は土、石灰、苦汁。
あらかじめ土と石灰を混ぜておき、苦汁をいれながら
あとはひたすら
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 たたく、たたく、たたく、たたく、たたく、たたくたたくたたく・・・

 この道具は「たこ」という名前です。
 ちなみに「いか」という名前の道具にはまだ
 出会ったことがありません。

なかなかの肉体労働でしたが、
おかげで立派な三和土の土間ができました。
これまた勘所をつかむことができれば
素人にも出来る作業でした。

只今修景事業では、
三和土製作依頼、絶賛受付中です!
あなたも一緒にたたきませんか?

しかし、何回叩いたことだろうか・・。

西山哲雄

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2009年10月28日 (水)

すくなくゆっくり

このところ取り組んでいるある建物の再生の仕事の現場では
できるかぎりお施主さんにも作業に参加していただいています。

その建物では、
崩れ落ちた土壁の木舞を補修し、
新たにベトを塗りなおすという作業を
お施主さんにやっていただいたのですが、
私が一通りやりかたを実践してみせただけで、結果、
立派な左官職人が誕生しました。

木舞を掻くのは奥様のほうが得意で、
ベトを塗るのはだんな様が得意と、
見事な分業体制で、
壁を仕上げていく様はとても見事なものでした。

少しの指導により、素人でもできるようになり、
基本を教えただけで、それを状況にあわせて応用することも
容易であるということ。

全てがそうだとはいえませんが、
古い建物をとりまく技術は、
プロでない人の参加を前提としたものが多く、
そういった意味では、
セルフビルド的な志向には向いているのかもしれません。

なによりお二人が楽しそうに作業している姿をみることができて
こちらも感無量でした。

出来上がりも十分に壁として機能するもので、
「綺麗さ」「平滑さ」といったところで勝負すれば
プロには到底及びませんが、
逆にプロには出すことの出来ない「作為のない痕跡」にあふれた
とても魅力的な壁になったと思います。

もうひとつ、プロとの違いは「スピード」。
速さで勝負すれば熟練の手には敵いませんが、
「スピード」が問題になるのは、それがコストに直結するからです。
しかし、自分達の手やれば、「ゆっくり」でもかまわないし、
一度に沢山の面積に手をつけようとしなければ、
膨大な作業量と作業時間に気が遠くなることもないでしょう。

だからだいじなのは、

 すくなく、ゆっくり

ということだと思います。

西山哲雄

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2009年10月14日 (水)

千曲市・稲荷山養護学校

こんにちは。先日、町内運動会で張り切りすぎて、
いまだに足に張りがある、土屋です。

さて、先日千曲市に所要で行った帰り、
偶然前を通りかかった稲荷山養護学校を見てきました。

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設計は、地元千曲市出身の北川原温氏。
外壁や構造材には長野県産のカラマツが多く使われた、
黄色い特殊な形をした屋根が大変印象的な建物です。

カラマツ板の木目や節の感じが、非常に温かみがあり、
また、屋根に関しては、写真で見るより、
現地で見たほうがかなりインパクトがあります。

この建物は公共建築になりますが、
従来多かったようなRC造でなかったり、
斬新な色使いは、これからの公共建築を考える上で、
新しい指標になるんじゃないかと思います。

ちなみに、公募型プロポーザル方式で行われた、
設計者選定の最終プレゼンの内容がこちらで見ることができます。

今回は、授業もしているようだったので、
外からみて回っただけですが、
周囲の街灯や施設も統一されたデザインが施されています。

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HPで他の写真を見てみると、
内部の構造材の組み方やデザインも見ごたえがありそうです。
ぜひ、機会があれば中も見学してみたいものです。

土屋 直人

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2009年10月 9日 (金)

大きさを揃えること

こんにちは、西山です。

先日、自分が使っている電卓と携帯電話のサイズが
ほとんど同じ大きさだということに気づきました。

001_2
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こちらがその写真。
こちらがその写真。
すこしわかりにくいですが、
どちらの写真とも、
黒い携帯電話の上に、白い電卓が乗っています。

厚みこそ違うものの、
平面的なサイズはほぼ一緒です。

おそらく両者をデスクの上においた状態で作業していて
何かの拍子に重ねてしまったところ
この事実に気づいた
ということだと思うのですが、記憶が定かではありません。

しかし、このことに気づいたときには、
なんだかうれしかったですね~。

そのことだけはよく覚えています。

上記のことは、

 両社のデザイナーが意図的にサイズをあわせた

ということではなくて、
純然たる偶然の出来事であるとは思うのですが、
物のサイズをあわせていくということは、
様々な可能性を秘めていると思います。

現在取り組んでいる再生の現場では、
お施主さまが、壊されてしまう古民家などから
譲り受けた床板や木製建具を
出来る限り再利用することを試みているのですが、
ここで大切になるのが「サイズ」であると、
身にしみて感じました。

民家は基本的に尺貫法に則ってつくられていますから、
床板などを再利用する際には、
長さを調節することなくそのまま使うことができるわけです。

また、建具にしても、
幅は尺貫法に基づいた柱間隔によって、
いくつかのバリエーションに大別することができますし、
高さにしても、「五八(ごはち)」と呼ばれるような
5尺8寸という高さが一つの基準となっていますので、

 あっちの建物から持ってきた建具をこっちのたてものへ

ということが、何の不都合もなく、簡単に出来てしまうわけです。

再利用に耐えうるだけの丈夫なつくりであるとか、
無垢材を使用しているだとか、
他にも重要な要素はありますが、
これからの「持続可能な社会」とか「長寿命住宅」といったものを
考えていくには、

 大きさを揃えていくこと

が、一つの突破口となるような気がしてなりません。

西山哲雄

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2009年10月 8日 (木)

小諸市・小山敬三美術館

こんにちは。胸囲と腹囲が同寸だった、土屋です。

さて、前回ご紹介した懐古園のすぐ隣には、
村野藤吾氏設計の小山敬三美術館があります。
建物の内部の意匠は、凝ったつくりをしている訳ではなく、
あくまで主役は「絵」である、といった感じです。
ちなみに、私が一番気に入った絵は、
パンフレットの作品一覧表には載っていない、
小山氏が中学生の時に描いた絵でした。

外観はというと、
こだわりのディテールが満載といった感じです。

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庭を眺める顔のように見える壁やえぐられたような壁、
開口部の取り方や地面と壁の関係性など、
私にははかりきれませんが、内部のシンプルさとは対照的に、
設計者の想いが全面に出ている気がします。

一つ、関係があるかは分かりませんが、
地面から這い出たような反りのある壁の感じは、
東御市の春原家住宅で見た土蔵に似た印象を受けました。

建物自体は、築30年以上が経ち、若干古びた感じはありますが、
その意匠には新鮮さを感じました。

土屋 直人

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