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2009年4月30日 (木)

静岡の旅 ~その1~

こんにちは。今年は結局お花見にいけなかった、土屋です。
まだ桜が咲いていて、屋台が出ているところはあるものでしょうか。

さて、先日友人の結婚式のため、浜松に行ってきました。
その帰り道、いくつか建物を回ってきました。

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登呂遺跡内にある白井晟一氏設計の芹沢銈介美術館です。
登呂遺跡が工事中であることは、以前の西山氏のブログで知っていたのですが、
まさか美術館が休館日とは、考えもしませんでした。
事前調査の大事さを痛感いたしました。

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長谷川逸子氏設計の静岡大成中学校・高等学校です。
窓の配置が独特で一見学校には見えない建物で、
中がどんな感じなのか気になり除き込んだりしていると、
怪しい人を見る視線を感じたので、退散してきました。

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磯崎新氏設計のグランシップです。
いかにも磯崎新、という感じのする建物で、
その名の通り、船を連想させるデザインをしています。
コンサートホールや会議場の巨大な複合ホールです。
外壁の石の使い方が印象的でした。

静岡の旅はもう少し続きますが、
続きは次回。

土屋 直人

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2009年4月28日 (火)

茅葺き工事@白馬 ~その5~

こんにちは、2ヶ月ぶりに小布施勤務に戻った金石です。
たった2ヶ月のように思えますが、
自分の知らない情報が事務所内にも溢れ返っていてビックリです。

さて、小布施に帰ってきたということは、、、

白馬村での茅葺き工事が終了しました!

Img_3384_3  Img_3545_2 
工事前                  工事後

Img_3398_2  Img_3565_2
工事前                  工事後

親方、先輩職人方、お施主さん、大変お世話になりました。
この工事を通じての一番の収穫は、
技術の習得でも素晴らしい人との出会いでもなく、

 次なる改修工事の際には自分が先頭に立ってやらなければならない

という決意が自分の中に生まれたことでしょう。
同時に、その改修工事のときに
自分がお願いされるに足る職人になっていなければ話になりません。
責任重大です。

これからもこの屋根と共に成長していけるよう、
すべき事は山積みです。

まずは傷んだ道具の手入れから...
ということで、昨日は道具の修理と新しい道具の製作をし、
ついでに、近所の茅葺き屋根の現状診断を行いました。

金石健太

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2009年4月27日 (月)

いちばんたいせつなこと

こんにちは、西山です。
これは27日更新のブログということになっていますが、
本当は、その翌日の28日に書いております。

というのも、27日にブログに取り掛かったのですが、
少し書いては消し、少し書いては消しを繰り返した結果、
何が書きたいのかわからなくなりまして、
とりあえず、その文章とともにのせる予定だった写真だけ
アップするという事態になりました。

下の写真がそれです。

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P4275844

これらの写真を見ただけでは、私が何を書きたかったのか
わからないと思います。

一応そのときは、
それなりのまともなことを書こうと思ったのですが、
書いている途中にどうも自分の文章が、
説教じみているように思えてきまして・・。

それも心の底からそう主張することを望み、書いたものなら
説教じみていても問題ないのですが、
ちょっと上から目線で物を言っているというか、
自分の身の丈に合わないところから書いているというか、
こんなことを書いて、賢い自分と思われたいというような、
まあとにかく、背伸びをしすぎた文章だったのです。

先日文化と文明の違いのところで取り上げた、
井上ひさしさんの本に、こんなことが書いてあります。

 「いちばん大事なことは、
  自分にしか書けないことを書くことです。
  自分にしか書けないことを
  だれにでもわかる文章で書く。」

  『井上ひさしと141人の仲間たちの作文教室』
                新潮文庫、31頁引用

まったくもってその通りだと思います。
そして続きにはこうあります。

 「不幸にして日本の作家、学者の人たちのなかに
  ―とくに学者は相当多く、
  作家はさすがに少ないんですが―
  だれにでも書けることを、
  だれにもわからない文章で書いている人が
  いるんですね。」

昨日の私が、書きかけた文章が、
まさにそんな文章でした。

小難しいことを書こうと思って書いたわけではないのですが、
わかりやすく書くということはやっぱり、
結構大変ですね。

こねくりまわして、まわりくどい言い方で、
つらつらと説明を重ねたほうが、
いかに簡単で、楽か・・。

でも、そうやって書かれた文章は、
なんだか賢そうなことを書いているようには見えても、
実際は中身の薄い文章であるし、
結局は読んでくれる人に、
届かないのではないかと思います。

いままでに自分が書いてきたもののなかにも、
そんな文章が少なからずあったかと思いますが、
書いてしまったものは仕方ないので、
これから先、上記の言葉を心にとめて、

 自分にしかかけないことを書いた
 だれにでもわかるブログ

にしていきたいと思います。

西山哲雄

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2009年4月24日 (金)

こんもり

こんにちは。修景事業の丸くてなで肩の人、土屋です。

さて、先日小布施町役場に行った際、
裏側の小学校の校庭の隅の方がもっこりしていました。

Rimg0004

昨年末から工事が進む、新小布施町立図書館の屋根です。
今は、屋根下地の上に防水シートが張られ、
これから金属板が葺かれる、といった状況でしょうか。

設計コンペで選ばれたプランは、このこんもりとした屋根と、
三角形の一部をくりぬいたような平面が印象的なプランです。
このこんもり屋根が、この敷地で実際にどんな感じで見えるのか、
楽しみにしていましたが、色のせいもあると思いますが、
山並みが連なっているように見えます。

Rimg0003

これからの工事の進展も楽しみなところですが、
工事の進捗状況はこちらからご覧いただけます。
この新小布施町立図書館、楽しみなのは建物だけではありません。
新しい図書館は、図書館としての機能だけではなく、
交流センターの機能を併せ持ち、様々な情報の発信源になるとのこと。
その運営方針も楽しみです。詳しくはこちら

今年の夏ごろの開館予定ということですが、
それまでもそれからも、関心は尽きなそうです。
図書館といえば、只今、愛称の投票とご意見を募集しているようです。

土屋 直人

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2009年4月23日 (木)

茅葺き工事@白馬 ~その4~

こんにちは、4月初日から始まった白馬村での茅葺き工事、
いよいよ最後の仕上げの刈り込み作業中の金石です。

先日の話ですが...

現場に到着すると思いがけない光景に遭遇しました。

Img_3541_2

茅葺き屋根が光ってる!!

この日の前の晩に強い雨が降って、
明け方からはカラッと晴れていました。
そのせいもあって屋根の表面が少し濡れていたのですが...

ちょうど「眺める位置」と「屋根勾配」と「太陽の位置」、
それに先に述べた条件が重なり合って美しい光景が生まれていたようです。

夕日に照らされて黄金色に光る屋根の姿は見たことがありますが、
このように本当にキラキラと光るのは初めて目にします。

葺きたてホヤホヤの茅屋根が見せてくれる貴重な一瞬です。

金石健太

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2009年4月22日 (水)

ロングライフ建築

こんにちは、西山です。

・春の訪れとともに、某所の土壁の補修を始めました。
 
 今年度初めての壁塗りは、
 ホトトギスが鳴き、桜が舞い散るという、
 最高の環境に恵まれました。

 今回補修しているのは、かなり古い土蔵。
 風雨に晒され、
 一緒に塗り込まれた石や藁が顔を出した壁は、
 年月を経ることで、明らかに新たな価値を
 生み出しています。

 
 そんな土壁の、補修。
 以前(といっても何十年も前ですが・・)補修した部分が
 すこしはがれてきていたり、
 他の部分に比べ傷みが進んでいるところに、
 新たな壁土を塗りこんでいく・・。

 これでまた、しばらくは
 時間を重ねていくことができるでしょう。

 土壁の補修に、特別な材料はいりません。
 木舞をなおす必要のない場合、
 ベト(壁土)だけあれば事足りてしまいます。

 「壁土」と言うと何か特別のように思うかもしれませんが、
 近くにある土でいいのです。
 田んぼの土だったり、庭の土だったり、
 それがもとになって「壁土」ができます。
 
 ですから、極端なことを言えば、
 この世から土がなくならない限り、
 壁土はなくなりません。

 この土蔵がまた、補修が必要になったときにも、
 ベトは容易に手に入れることができるでしょう。

 何十年後も、何百年後も手に入る材料。

 こういうことって、意外と大事な気がします。

・下の写真は、京都の河井寛次郎記念館の犬矢来です。

 002
 001
 竹製ですが、
 傷んだ部分だけ、新しい竹に交換してありました。

 傷んだ部分だけ補修できて、
 なおかつその材料を、これから先もずっと、
 容易に手に入れることが出来る。 

 
 シンプルなことですが、これこそが、
 長く使い続けるポイントなのではないかと思います。

西山哲雄
 

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2009年4月21日 (火)

夜もオススメです

こんにちは。ようやく花粉症の憂鬱から開放された、土屋です。
これで天気のいい日も気持ちよく外出できます。

さて、今日の仕事終わり、長野へ出かけたついでに、
現在ご開帳で賑わう善光寺に行ってきました。
とはいえ、時間は夜の7時過ぎ、
さすがに、人通りはほとんどなく、
仲見世通りのお店もほとんど閉まっていていました。

Rimg0003
Rimg0014
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昼間の活気のある仲見世通りもいいですが、
夜の静まった感じの方が私は好きかもしれません。
街灯に照らされた仲見世の家並みがきれいで、
とくに今日は、雨で濡れた石畳が光を反射した感じがきれいでした。

さてさて、いよいよ本堂へ。さすがに本堂は閉まっていて、
前立本尊を見ることはできませんでしたが、
それでも、生まれて初めて、現役の回向柱を間近で見ました。

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間近で見ると、その大きさときれいさに圧倒されます。
ついつい、これだけの材を買ったらいくらするんだろうとか、
加工や字を書くときはすごいプレッシャーだろうな、
なんてことを考えながら何回も、何週もしてしまいました。
ゆっくり見たり触ったりできるのはこの時間ならではかもしれません。

途中、急に雨足が強まってきて、
お参りをするのも忘れて帰ってきてしまったので、
今度は昼間に行ってみたいと思います。

土屋 直人

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2009年4月20日 (月)

茅葺き工事@白馬 ~その4~

こんにちは、ブログ更新サボリ常習犯の金石です。
もうすぐこの白馬の現場も終わりますので、
そうすればブログの更新も円滑になるはずです。

そう、
この茅葺き工事の現場もいよいよ終わりが見えてきました。
というのも、葺き上げ作業がついに完了したのです。

Img_3498_2 

ということは、、、
あの全身煤だらけになる針取り作業も終わりです。

「針取り」???
意味がわからない方が多いと思いますので、
簡単に説明します。

茅葺き屋根の茅って、
言ってみれば茅を縄と針金とで屋根に縫い付けているようなものです。
束ねた茅を並べて、それを何段かおきに横棒で押さえつけていきます。
その横棒をギュッと締め付けるために、
小屋裏の木材(垂木等)に針金を掛けるのですが、
結構な厚みの葺いた茅があるために、
屋根の外側から一人で作業することができません。
そこで、屋根の外側から「針金を通した針を刺す人」と、
屋根の中で「針金を取り次に針を通して欲しい箇所を指示する人」
に分かれて作業していきます。

言葉で説明すると難しくなりますが、
大雑把に言うと、お裁縫で布を縫うみたいなものです。

で、、、
想像に難くないとは思いますが、
民家の小屋裏って煤だらけです。
そんな場所で這いつくばりながら作業しているんですから、
当然、全身煤だらけ...
作業を終えて外へ出ると、本当に真っ黒な顔をしています。

現場では、その真っ黒な顔をみんなで指差して笑うのが恒例行事です。
まぁ、たいていの場合、その笑われ役はこの私ですが...

Img_3433

厚手のゴム手袋をしていてもこの汚れ方。
しわに入り込んだ煤って洗っても洗ってもなかなか落ちません。
当面、手のひらを綺麗に保つのは諦めました...

とまぁ、そんなわけでこの現場の針取り作業は無事に終了したのでした。
これで少しは洗濯が楽になるはずです。

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金石健太

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2009年4月17日 (金)

土地から生えるもの

こんにちは、西山です。

川添先生の話を聞いてから数日後、
偶然読んでいた本の、こんな一節と出会いました。

 「文化」とは売り買いできないもの(輸入、輸出ができない)。
 「文明」というのは、売り買いできる(輸入、輸出ができる)

 
これは『井上ひさしと141人の仲間たちの作文教室』
(新潮文庫、46頁)からの引用ですが、この一節は
大野晋さんの『角川必携国語辞典』から引用されていた
部分だったので、引用の引用ということになります。
(本当は原本に当たるべきところではありますが、
 今回は間に合いませんでした。申し訳ありません。)

さすが辞書。といってしまえばそれまでですが、
この定義はすばらしく明快です。

また、川添先生の
 
 文化は場所におこるもので、
 そこに人が介在することは許されるが、
 文明は場所によらないもので、
 人の介在を許さないものだ。

という説明とも重なる部分が多いように思います。

やはり、文化とは土地から生まれるもので、
それを土地と切り離して考えることはできないという
ことだと思います。

そして、土地と切り離せないからこそ、
輸入や輸出ができないわけですね。

住宅を例に「文化」と「文明」のことを考えてみると、
地方地方で、その土地の気候風土に合わせて、
その土地の材料でつくられていた「民家」は、
まちがいなく、「文化」だと思います。
(これらは今、「古民家」と呼ばれることが多いです。)

一方、全国どこでも、さらには世界中どこででも
同じような家を建てていくことは、「文明」と呼ぶほうが
適当に思えます。

 ・・・・・・
 
さて、では「古民家」を別の土地に解体移築したとしたら、
それは「文化」的行為なのか「文明」的行為なのか・・。

例えば、海外に移築ということになれば、
それを「文化」と呼ぶことは難しいでしょう。
 
反対に、すぐ隣の敷地に移すだけなら、
「文化」的行為とみなしてもさほど問題は無いと思います。

では、両者の境目はいったいどこなのか?

そしてそれは、物理的距離の問題なのか、
それとも別の尺度があるのか・・。

 
前にも同じようなことを書きましたが、
そのあたりのことを考え続けていくことが、
今後、自分にとっては大切なことのような気がします。

西山哲雄

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2009年4月16日 (木)

何か違う…

こんにちは。花粉症がおさまりつつある、土屋です。
そういえば、先日ラジオを聴いていると、

「花粉の出ない杉の育成に成功した」

というニュースが流れてきました。
詳しい内容はよく覚えていませんが、
「花粉症の人にはうれしいニュースですね」
と、そのニュースは締めくくられました。

が、まったくうれしくないのは私だけでしょうか。
かれこれ10年近く花粉症には悩まされていますが、
これっぽっちもうれしくありません。

花粉の出ない杉なんて、
ものすごく不自然なことに思えますし、
一体いつになったら花粉症がなくなることやら…。

花粉が出ないということは、
自然に増えることはなく、植林しか杉が増える手段はありません。
植林政策を進めるも、林業の衰退で手入れが行き届かなくなり、
花粉問題が発生している、という見解もあります。
ちゃんと管理していくことができるのでしょうか。

問題の根本を絶つ、という意味では正攻法なのでしょうが、
何か違う気がします。花粉症問題を優先するあまり、
日本の中心的な建材である杉に異変がおきしまうのでは、
そんな不安がしてしまいます。

とはいえ、花粉症はなんとかしたい、
土屋 直人

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2009年4月15日 (水)

「技術」考

こんにちは、茅葺きの隅部分のリベンジに
なんとか成功した金石です。

作業スピードはまだまだですが、
「こう納めればうまくいくかな?」
と夜中に思ったことがうまくいったのです。

今回の一連の苦い経験を通して、
「技術」について考えさせられました。

私にとっての「技術」とは?それは

 毎回違う作業環境の中で、
 臨機応変に工夫をしてうまく納めていくこと。

確かに基本となる工程や考え方はどんなことにだってあります。
その部分はマニュアル化も数値化もできます。
もちろん茅葺きにだってそういったものはあります。
ただ、実際に現場に出てみると、
その基本が当てはまらないことなんて日常茶飯事です。

そんなときに基本となる考え方を充たしながら、
どのような工夫ができるか?
そこが職人としての勝負どころです。

で...
今日、なぜだかわかりませんが、
作業をしながら現代の建築業界について考えている自分がいました。

私の考察によると、現代の建設業界は、

いかにして「基本が当てはまらない状況を作り出さないか」
ということに躍起になっている。
材料の規格化なんてものは、その最たる例です。

要するに、私の中での「技術」が登場しにくい環境が
猛スピードで培われていっているようです。

う~ん...

なんか違うよなぁ...

対して、伝統的な分野には嬉しいことに
「基本が当てはまらない状況」が溢れんばかりに用意されています。
ひょっとすると私がこの分野に憧れるのも、
この辺に原因があるのかもしれません。

以前のブログに、
地元の粘土でいかにして良い瓦を焼くかが技術か?
誰にでも焼ける「良い子ちゃん粘土」を作ることが技術か?
みたいな事を書いたことがありますが、
今一度「技術」について真剣に考える必要がありそうです。

まぁ、何はともあれ、
今回の隅部分の挫折を通して、
茅葺き屋根の奥深さと面白さの一端を垣間見ることができました。
これからも自分のアンテナに正直に、
どっぷりと「技術」の世界に漬かっていきたいと思います。

金石健太

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2009年4月14日 (火)

HT対策

こんにちは、にしやまです。

本日も旅ネタですが、
まずは一枚の写真からどうぞ。

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これは、寺院などでよく見られる「斗組」です。
木材が何段にも組み合わさって、軒を支えています。

002
こちらも同じ建物の斗組ですが、
なにか余計なものがついているのに気づくでしょうか?

004
寄ってみると、このような感じです。
木が組み合わさって飛び出た上のところに、
銀色の針金状のものが何本もあるのがわかりますか?
実はこれ、さかさまになった釘で、
おそらくは鳩がとまらないようにという対策だと思われます。

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ここにも。

005_2
このように、ありとあらゆるところが剣山状態です。
良く見ると、上のほうにネット状の鳩避けも施されており、
さらには写真ではよくわからないと思いますが、
細い糸も張り巡らされており、
鳩対策の見本市状態です。

我々も鳩対策に追われた経験があるので
気持ちはわかりますが、
ここまでくると、なにか執念のようなものを感じます。

きっと、鳩と人間の根気比べのような状態になり、
気がつけばこの様になってしまったのでしょう・・。

対策のおかげか、あたりに鳩は見当たりませんでしたが、
その代償としてのこの有様は、
はたして正解なのだろうかと思ってしまいました。

西山哲雄

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2009年4月13日 (月)

マイ茅バサミ

こんにちは。先日実家に帰ったら、玄関で桜が咲いていた、土屋です。
ちなみに、我が家の桜は、玄関で青々とした葉を茂らせております。

さて、白馬の茅葺工事は順調に進んでいるようですが、
拵えておいた切り茅が不足気味だということで、
ここ2日は切り茅づくりをしています。

切り茅づくりといえば、
慣れない態勢での作業かつ単調作業の繰り返しから、
体力的にはもちろん、精神的にもかなりやられます。
案の定、冬場になまりきった体に、夏日にせまる気温のおかげで、
体力的にはかなりしんどいのですが、
精神的にはそれほど疲れを感じておりません。
その理由がこちら。

100_4073_3

マイ茅バサミです。
これまでは、ハサミはその都度お借りしていたのですが、
この春、各自に一本ずつ購入したのです。

それで、この切り茅づくりから早速使っているのですが、
切れ味は、もう抜群です!
毎回の切る作業がちょっと楽しみなくらいです。

このマイ茅バサミのおかげで、体力的にはきついながらも、
今のところは楽しんであの単調作業がこなせています。
終わるまでのあと2日、この感じが続いてくれればいいのですが‥

早く屋根の刈り込みもしてみたいものです。

土屋 直人

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2009年4月10日 (金)

茅葺き工事@白馬 ~その3~

こんにちは、本日大きな挫折を味わった金石です。

というのも...

今日、茅葺き屋根の隅の部分を
初めて一人でやらせてもらいました。

茅葺き屋根の場合、まず初めにこの隅部分をつくってから、
その後に平面に茅を並べて葺いていきます。

そう、この隅部分、
葺き上げの工程の中でもかなり重要な箇所です。
それゆえ、たいていの場合、
ここは親方の仕事となります。

極端な言い方をすると、
今まで私がやっていた平面の仕事は、
ある程度の経験を持った素人の方でも十分にできます。
作業スピードの違いこそあれ、
事実、私にもできているのだから、
皆さんにもできるはずです。
それに対し、この隅部分の施工は
技術を要する「職人仕事」と言えるでしょう。

つまり、作業内容が「ある程度の経験を持った素人」から
「職人」の域へ変わったのです。

で...

結果は冒頭でも申したとおり惨敗に終わりました。

屋根勾配と茅の勾配のバランスがうまくいかず、
結果としては半日近くの時間を
この一箇所のために費やしてしまったのです。

初めてとはいえ、これでは仕事になりません...
猛省です...

親方に申し訳ないのと、
自分に対して悔しいのとで胸がいっぱいです。

仕事帰りの車中も、風呂に入っている最中も、
「どうやったら隅の部分がうまくいくか?」
しか考えられません。
家族との会話もままならない状態です。

布団に入っても頭の中では
ずっと隅部分のシュミレーションが行われ続けています。

その結果、とうとう眠れなくなってしまいました。

というわけで、気分転換に今(真夜中ですが…)、
こうしてブログを書いております。

もう一度チャンスをいただけることになり、
明日のリベンジに燃えまくっている
金石健太

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2009年4月 9日 (木)

km

・前回の小布施ッションで、川添先生は、
 
  文化は場所におこるもので、
  そこに人が介在することは許されるが、
  文明は場所によらないもので、
  人の介在を許さないものだ。

  そして我々は、文化を創っていかなくてはならない

 というようなことをおっしゃっていました。

 文化と文明の違いは、
 他にもいろいろあるのかもしれませんが、
 川添先生の説明に則るならば、ここ数十年我々は
 「文明」を創るため、発展させるためばかりに躍起になって、
 文化というものを、
 かなりおざなりにしてきたのかもしれません。
 
 我々がこの小布施という土地で、
 この地の粘土を使い、達磨窯という土の窯で、
 この地に葺く瓦を焼こうとしていることは、
 間違いなく「文化」をおこすとだと思います。

 
 「文明」という、
 ある種の洗練されたものとは程遠いかもしれませんが、
 我々は泥まみれ汗まみれになって、
 瓦を焼いていこうと思います。

 

・旅先で、いくつかの「窯」関係のものに出会いました。

 001_2
 004

 こちらは京都の河井寛次郎記念館にある、登り窯です。
 
 「この窯は五条坂によく見られた、何軒かで使用する共同窯
  で、寛次郎氏は高温度で還元焼成できる下から2つ目の
  室をもっぱら使っておられた」
 (河井寛次郎記念館編『河井寛次郎の宇宙』講談社、23頁)

  とのことです。

 共同窯ってなんだかいいですね。
 窯焚きのときなんか、たくさん人が集まりそうで、
 なんだかたのしそうです。

 お気に入りの焼成室のとりあい
 なんてことにならなかったのでしょうか。
 
 
 
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 こちらは同じ敷地内にある素焼き窯。
 なんともかわいらしい風貌をしています。

 001_4
 ところかわりこちらは加賀。
 建物の前のおおきな茅が気になりますが、
 お目当てのものは黒い建物の中にあります。

 002_2
 建物内部です。下のほうに見えるのは
 発掘された久谷焼の窯跡です。
 
 ここにもかつて、河井寛次郎記念館にあったような
 登り窯が築かれていたということです。

 この窯跡の覆屋は内藤廣先生による設計で、
 内藤先生は、この覆屋に対し、

  これらの建物は、敷地に流れる目に見えない時間を
  なんとか過去から未来へつなげようとしている。
  (中略)時間は場所に堆積する。
  失われつつある時間を建築の中に再創造すること、
  それが、今の建築に課せられた大きな課題なのだと思う。
  つまらなくて価値のあるもの、価値とは時間のことだ。
 
  (加賀市教育委員会発行
   『九谷焼窯跡展示館展示解説図録』2頁)

 という言葉を残されています。

  つまらなくて価値のあるもの

 まさにその言葉がふさわしい、すばらしい建物でした。

西山哲雄

 
 

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2009年4月 8日 (水)

手練りコンクリート

こんにちは。最近、自転車がギシギシ音を立てる、土屋です。

さて、先日、友人宅の工事のお手伝いに行ってきました。
昭和初期くらいの建物の一部を残しての改築工事なのですが、
なんと解体から友人一人でやっていて、その解体も一通り終わり、
基礎工事に入るということで、今回声をかけられたわけです。

作業内容は、捨てコンクリートを打つこと。
捨てコンクリートとは、基礎コンクリートを作る前に、
基準となる水平面を作るためのコンクリートで、
この上に墨を出したり、基礎の型枠を固定したりします。

数量も0.5㎥と、それほど多くなかったので、
いい経験だし、コンクリートを手で練ってやってみよう、
ということになり、早速、ホームセンターで、
数量分のインスタントモルタルと砂利、練り舟を買ってきて、
作業を開始したのですが…、選択を間違えた、とすぐに思いました。

インスタントモルタルは10体買ってきたのですが、
買ってきた舟だと1体しか練れず、それもギリギリの大きさだったので、
1回練るのに15分くらいかかってしまい、
15分かけて練っては、5分で打設する、といったペースでした。

同じ0.5㎥をミキサー車で頼んで、一輪車で運んだら、
きっと30分くらいで終わったのでしょうが、
そんなこんなで3時間くらいかかってしまいました。
また、この日は気温が20℃近くまで上がり、
練る作業も、冬場でなまりきった体にはかなり堪えました。

しかし、終わった後の満足感や達成感がかなりあって、
たかが捨てコンクリートですが、すごく大事なものに思えました。
その点では、やってみてよかったなと思います。

土屋 直人

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2009年4月 7日 (火)

茅葺き工事@白馬 ~その2~

こんにちは、指の関節が毎日痛い金石です。

茅を運んだり、茅の間に指を入れたり、
何かと指という便利な道具を力いっぱいに使うことが多く、
そのせいで指を動かす度に関節がキシキシときしみます。
なんだかオイル切れのポンコツ機械みたいですが、、、
この「キシキシ」、結構気に入っています。

さて、白馬村での茅葺き工事ですが、
こんな具合に順調に進んでおります。

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普段我々が茅葺き屋根を見上げるときは、
ある程度の距離をおいて眺めているために
あまり気にも留めませんが...
無数の茅が行儀よく並べられた姿は、
近くで見ると壮観です。

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夕陽を浴びた茅。
まだ刈り込み前の状態です。
ほんのりと赤く輝いています。

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まだ束の状態で屋根に置かれている茅の表情。
この後、束ねている藁を切って
均等な高さになるようにほぐします。

昼間の高い日差しでキラキラと輝く茅も綺麗ですが、
なんといっても夕暮れ時の表情は
何ともいえない豊かな「陰影」に満ち溢れ、
一日の作業の疲れを癒してくれる贅沢な時間に包まれます。

こういう景色で一日の仕事が終われることを
本当に幸せに思います。

金石健太

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2009年4月 6日 (月)

WS

こんにちは、西山です。

先週末、93回目を迎えた小布施ッションに参加しました。
講師は、建築家で東京大学の助教の川添善行先生。

講演は大変盛り上がり、二次会も超満員という
いつにも増して刺激的なものだったのですが、
そのあたりの事はまたおいおいということにして、
今日は、小布施ッションの翌日に行われた
ワークショップの様子をご報告したいと思います。

川添先生は、大学で教えられているということもあり、
今回は、たくさんの学生さんとともに、
小布施までお越しくださいました。

そんなことで、
せっかく小布施までおいでいただいたのだからと
みなさんにはワークショップで一肌脱いでいただくことに
なったわけです。


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今回は30名近くの学生に参加していただき、
我々も含めると総勢40名近い人数となりました。

みなさんには、5~10人程度のグループに分かれてもらい、
まちのそこかしこで、活躍していただきました。

我々の準備不足で、スムーズな進行が出来なかったので
迷惑をかけてしまいましたが、
彼らは本当に生き生きと体を動かし、汗を流して
颯爽と去っていきました。

どうもありがとうございました!

Ws010

西山哲雄

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2009年4月 3日 (金)

つながり

こんにちは。最近、増え続ける体重に危機感を感じている、土屋です。

さて、先日地区の資源ごみ回収の当番に行ってきました。
今年、アパート世帯の組長と分館委員なるものを仰せつかり、
各組長さんが順番で行っている当番が回ってきたという訳です。

朝6時半からという早い時間からにも関わらず、
大勢の人がビンやペットボトル、新聞紙などを
たくさん持ってきていました。

ちょうど雪が降った次の日でしたし、
朝も早いしそんなに人は来ないのではと思ってましたが、
一時は、車が渋滞するほどの賑わいになりました。

特に新聞紙や雑誌などの古紙や、ビンが多かったように思います。
とりわけ古紙は、卒業シーズンとあってか、
教科書や参考書などの本が結構ありました。
ビンでは、栄養ドリンクのビンが多かったように思います。

これまではアパート暮らしということもあって、
地区の行事や、こういった資源ごみも、
実家に持っていったり、直接業者の所に持っていったりしてしまい、
地域の人と接する機会が全くと言っていいほどありませんでした。

しかし、今回このゴミ当番では、
いろんな人のゴミを一緒に運んだりする中で、
挨拶を交わしたり、ちょっとした会話をしたりでき、
やはり、こうした地域の人とのつながりは大事だし、
いいものだなと思いました。

また、月に一度くらい会議のようなものがあるのですが、
そのときも他の組長さんたちは、全く知らなかったであろう私とも
やさしく接してくれます。

こんな、地域のつながりであったり、
他所から来た人を暖かく迎えてくれるところが
小布施の魅力なんだと改めて感じました。

土屋 直人

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2009年4月 2日 (木)

茅葺き工事@白馬 ~その1~

こんにちは、ブログの更新をサボりまくっていた金石です。

白馬村の茅葺き工事の現場から直接帰宅しているため、
ブログの更新がおろそかになっておりました...
冒頭から言い訳ですいません。

さて、茅葺き工事がいよいよ始まりました。
とはいってもいきなり屋根に上れるわけもなく、
まずは仮設足場の建設と小屋裏の補強作業です。

何を隠そうこの私、
茅葺き工事で仮設足場を組むのは今回が初めてです。

「屋根屋たる者、足場も組めるべし」

つくづくそう思わされました。
屋根工事を単独で請け負った場合、
このノウハウを自分達で持っていることは
非常に重要なことです。

ちなみに、我々が技術を教わっている親方は鳶でもあるので、
この手の作業はお手のものです。
あっという間に仮設足場は完成します。

で、私はというと、
見よう見まねで作業を手伝っておりましたが、
素人丸出しで、正直なところ、
戦力になれていたかは少し疑問が残る始末です。

親方は口にこそ出しませんが、
もっと手際良く作業できる職人を
自分の会社に抱えているにも関わらず、
それでも私に手伝わせてくれる事の意味を噛み締めながら、
今は必死に作業をしております。

さて、こうして準備が整いました。
明日から葺き替え工事が始まります。

≪作業の様子≫
Img_3384

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金石健太

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2009年4月 1日 (水)

KBY

こんにちは、西山です。

少し前のこと。
旅先で訪れたまちを散策していると、
こんな看板をみつけました。

   茅葺き屋根、無料で葺きます。
 
            KBプロジェクト
     連絡先:○○○―○○○○

ちょうどそのころ我々は、
茅葺き屋根の葺き替えにかかるお金を
なんとか下げられないかと思案しているところでした。

そして
我々の試算では、茅を自分達で刈り取ったりすることで、
材料費を何分の一かにすることができるだろうという
見通しを得たのでした。

しかし、
材料費が何分の一になったとしても、それでもなお、
葺き替えには数百万円の単位でお金がかかることには
変わりありません。

そんなときに出会ったのが、上記の看板でした。

「茅葺き」「無料」
看板に並ぶこれらの文字を見たときの驚きを、
今でも忘れることができません。

と同時に、

 なにかの間違いだ。
 さもなくば、詐欺の類だろう。

 どう考えても、ただで葺き替えできるはずがない

という想いがこみ上げてきたのも事実です。

考えても見てください。
我々の試算で数百万かかるものが、
無料でできるとうたっているわけです。

簡単には信じられませんよね?

すくなくとも私は素直に信じられなかったのですが、
半信半疑のまま、とりあえず看板を後にし、
そのまちを歩き回った私は、あることに気づきました。

それは、
まちのそこかしこに、茅葺き屋根の建物が見受けられるということ。

しかも、今にも朽ち果てそうなものではなく、
あるものは最近そっくり葺き替えたらしい屋根だったり、
あるものは差し茅で補修された痕跡の残る屋根だったり、
・・・
と、ようするに、丹念に手入れされた茅葺き屋根が、
いくつも見られたのです。

その町は、宿場町の面影がそのまま残るような観光地ではないし、
保存地区として認定されたようなところでもありませんし、
「茅葺きのまち」として売り出している様子もありません。

現に、古い建物もそれなりには残っているのですが、
ハウスメーカーが建てただろう新しい家も普通に建っています。

そのような、いわばどこにでもあるような一地方のちいさなまちに
良く手入れされた茅葺き屋根の建物がたくさんある・・。

しかもよく見ると、母屋だけが茅葺き屋根なのではなく、
土蔵や倉庫などの付属屋や
田んぼに点在する小さな道具小屋にいたるまで、
茅で葺かれているではありませんか。

観光客目当てでもないのに、
コストのかかる茅葺き屋根を選択するとは・・

私は目の前で起こっていることをどう受け取ったらいいのか、
しばし途方にくれました。

そして、ひとつの思いに到達しました。

  あの看板は、本当なのかもしれない・・・・

無料で茅葺きをなおす。
そんなことが本当に可能になっているとしか思えませんでした。

私は急いで看板のところに取って返し、
「KBプロジェクト」という団体名と、連絡先をメモしました。

・・・・・・・・

しかし私は、
その連絡先に連絡することなく、現在に至っています。

なぜか?

それは、くやしくなったから。

 葺き替えにかかる金銭的負担を少なくして、
 多くの人に茅葺き屋根を提供したい

これは我々修景事業が抱く大きな夢です。
それを実現するために、
自分達で茅場をつくろうとしたり、
茅を刈ったりしているわけです。

あの日、私が出会ったその町では、
我々の夢が実現しているように見えました。

看板の連絡先に連絡すれば、
無料で茅葺き屋根を葺き替える仕組みを
教えてもらえるかもしれません。

それは我々にとって、喉から手が出るほど欲しい情報です。

その情報を得ることで、小布施でも
あのまちと同じ光景が実現できるでしょう。

でも・・、

我々は、自分達の力でそこまで到達したい
と思ったのです。

非合理的な考えなのは重々承知していますが、
たとえ何年かかろうと、
あのまちのところまで、自分達で到達したいと思います。

きっと、そのほうが楽しいから。

というわけで、あの日のメモは私の机の引き出しに
今も眠っています。

余談になりますが、
製品の値段を下げようと試行錯誤する社員を前に、
松下幸之助さんは

 価格を一割下げようと思ったら大変だが、
 三割下げようと思ったら、(根本から見直す必要があるので)
 逆にやりやすい。

このようなことをおっしゃったそうです。

我々は今まで、「一割下げる」発想だったのだと思います。
しかし、あのまちでは「三割下げる」ことを考えた結果、
あそこにたどり着いたのだと思います。

我々も明日から、この精神でがんばります!

Photo

西山哲雄

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