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2008年11月 7日 (金)

こんにちは、西山です。

 先日のブログで、3つの本から同じような言葉を
 引用しましたが、その後読んだ本にも同じような言葉が
 出てきたので、紹介したいと思います。

 ―以下引用―

  1950年代から90年代を通して工学に何が起こってきたか
  ということを一言でいうとすれば、
  モノづくりに対する空洞化、ということになると思います。

  一つはシステムのレベル、もう一つは物質のレベル、
  そして三つ目は建設のレベルというそれぞれのレベルで、
  空洞化が進んできたのです。

  ものをつくるレベルで空洞化が起きています。

  (中略)

  空洞化に歯止めをかけるには、
  非常に困難なことですが、
  工学や技術をわれわれの了解可能な範囲に
  留めておくことです。

  もともと、技術、デザインというのは
  人間のために存在していることを思い出してほしいのです。

  現在、コンピューターの革命的な進化に晒されている
  われわれは、それらを人間の側、われわれの感覚の側に
  どう引き戻すかについて必死に考える必要があります。

  (内藤廣 『構造デザイン講義』王国社p203-205)

 
 内藤廣さんはご存知の通り、著名な建築家であり、
 小布施ッションの講師として来られたこともあります。
 大好きな建築家のひとりです。

 コンピューターのめざましい進歩によって
 建物の構造解析は簡単にできるようになり、
 どんな形の建物でもできない建物はないと言われている現代。

 しかし、コンピューターで解析できたからといって、
 その建物が何の問題もなく建つと思ったら大間違いで、
 実際に、高名な建築家の設計した建物でも
 倒壊事故が起きているそうです。

 そういった事故を防ぐためには、コンピューターがいくら
 進化してもだめで、本当に大切なのは、
 エンジニアが工学的な知識とともに、現場などから身体的に
 得られる「経験知・体験知」といったものを持ち合わせることだ。

 と、本書は説いています。

 この書は東京大学の土木学科の学生に向けた講義をまとめた
 ものということですが、

   組積造・スティール・コンクリート
   プレキャストコンクリート・木造
  
 という構造(素材)別の章立てで、
 それぞれの歴史や使用例、利点や及第点などについて、
 自身の経験を交えながらそれぞれわかりやすく解説が
 加えられています。

 自身が実際に経験されたことや、ご自分で設計された建物を
 例にとり、平易な言葉で説明されているので、
 非常にわかりやすく、入門書としては最適かと思います。

 自作以外の最新の建築物も随所に取り上げられていますが、
 著者の個人的な好き嫌いが垣間見られて、面白いです。
 

 西山哲雄

 

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