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2008年2月13日 (水)

民家とは

こんにちは、西山です。

自分でもわすれるくらい前のブログの続きです。

軒先から落ちる雫を見ながら向かった場所は、
町内の左官材料屋さん。
写真館で木舞を掻くのに用いた竹や葦、細縄は、
ここから仕入れたものでした。

そういうわけで、よくお世話になっているところなのですが、
考えてみたら、自分達の使った竹や葦や細縄が、
どこから来たものなのか、何一つ知らないことに
ある日気づきました。

それで今回、他の用事で行くついでに、
そのあたりのところも聞いてしまおうと思って、
お邪魔したわけです。

「まぁ、お茶やってきな~」
という言葉でご主人に迎えていただき、
左官材料(主に木舞材料)について、
いろいろお話を伺いました。

わかったのは、

 竹は宮城県産(岩手県産もある)
 葦は茨城県産(滋賀県も産地である)
 細縄は新潟県産

だということ。
そして、竹や葦については、
生産者の高齢化、後継者難
という現実が押し寄せているようです。

山に生える竹を一本一本切って束ねて製品にする苦労は、
根曲がり竹をとりにいった経験のある我々としては、
他人事には思えません。
やはりとても手間がかかるようで、
それが後継者難につながっているようです。

葦にしても、刈り取りは機械でおこなわれるようですが、
刈られた葦を束ねていくのは、
依然として人力とのことで、
地元のおばあちゃん数人が、頼りのようです。

さすがに、すべてが長野県内で
まかなわれているとは思ってませんでしたが、
こうも全国各地から材料が集まってきていたとは・・。

そして、ほんとに数人の、ご高齢の方々のがんばり
によって、辛うじて、材を入手することができている。
それが現状だということになります。

もちろん、生産者の方々の苦労によって、
我々が材料を手に入れることができるわけで、
本当に頭が下がりますが、
あちこちから材料を集めている今の状態は、
なんだかおかしなぁと思います。

地元の民家や土蔵を修復していくために、
決して近くはない場所から材料を取り寄せる。
たしかにそれで、景観は保たれるのかもしれませんが、
長い目でみたとき、どうなのか。

自然素材か工業材料かの違いはあれ、
遠くから材料を持ってきてることだけをみれば、
工場で材料を作り、全国各地へ出荷し、
あちこちに、どこにでもあるような家を建てる行為と
同じではないか。

たとえば、こういう二択があったらどうでしょう。

ひとつは
その土地の伝統的な形や工法を踏襲してつくる家。
ただし材料は、遠くからでも安いものを集める。
茅葺屋根の茅は、海外から。
木材もまた、海外から。
土壁の材料は、全国各地から。
できあがるのは、立派な茅葺民家です。

もうひとつは、
地元で集められる材料を使用してつくる家。
もちろんその土地の伝統的な形・工法を踏襲することが理想ですが、
限られた材料を用いるため、
その材料の可能性を最大限いかせる形・工法を
用いることになります。
できあがるのは、今までその土地にある民家とは
少し違った形になるかもしれません。
全然違う形になる可能性すらあります。

さて、
どちらが「民家」といえるのか?
どちらが「その地域らしい家」といえるのか?

大きくとらえれば、民家=庶民の住宅 なので、
どちらも民家に違いないのかもしれませんが、
民家に「地域らしさ」を求めるのならば、
どちらの選択肢を選ぶかというのは、
大きな分かれ道ではないでしょうか。

「小布施らしさ」ってなんだろうと、最近よく考えていて
まだ答えは出ませんが、今のところ、
後者の選択肢を、私は選びたいと思っています。

そうはいっても
地元で、使いたい材料が集められるのが理想ですので、
我々もがんばらねば!

P1030533_2
茨城県からお越しの、葦。

〈ストックのある風景〉
P1030573_2
家の前に積まれた丸太。
はぜ掛け材でしょうか。
P1030576
石積みに注目。
真ん中あたりから左右で違うのがわかりますか?
P1030577
こちら右側。
不ぞろいの石が積まれ、
ところどころ、隙間に小さな石が詰め込まれています。
P1030578
こちら左側。
石が加工され、隙間無く詰まれています。

どちらも石積みには違いありませんが、
私は右側のほうが好きです。

隙間から蛇とか出てきそうでしょ?

西山哲雄

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