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2008年2月 7日 (木)

小布施ッション79 永田照喜治 -後編-

さて、前回の続きです。

永田農法とは、いったいどんな農法なのか?

これについては、たくさん本が出ていたり、
ネットにも多くのことがかかれているので、
詳述は避けつつ、乱暴にまとめてしまうと、

 作物の潜在能力を最大限に引き出すこと

を目指した農法だといえます。
人間にたとえるならば、
 
 立派な家があり、十分なお金を得、好きなものを食べられる

という生活が、通常の農業ならば、

 四畳半一間風呂なし、アルバイト生活、一日一食

もしくは
 
 ホームレス中学生

みたいな状況が、永田農法における作物の状況と似ていると思います。
ちょっと比較が極端かもわかりませんが。

ぎりぎりまでそぎ落とされた生活では、
「生きる」ということに、必死にならなくてはなりません。

作物も同じということです。
必死に生きた証が、実という形で、文字通り結実するわけです。
だからおいしい作物ができる。

こうして書いてみると、非常に理にかなったやり方のような気がします。
ただ、「ぎりぎり生かす」ために、水や肥料の量やタイミングについては、
熟慮が必要になるはずで、そういう意味ではリスクが高いというか、
作物としっかり向き合うことがもとめられるようです。

簡単に書くつもりが、長くなってしまいました。

永田先生の話を聞きながら私が思い出したのは、
木村さんのりんごです。
簡単に説明すると、不可能といわれた
化学肥料や農薬を使用しないりんご栽培に成功した人、
それが、木村秋則さんです。

テレビ番組を見て知ったのですが、そのときの私の感想がこちら。
長くなるので、読み飛ばしてもらってもかまいません。

  「木村さんのりんごは絶品&腐らないらしい。 」

  木曜日、NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」を見た。

  不可能といわれた無農薬・無肥料りんごの栽培を可能にした、
  木村秋則さんの回だった。

  木村さんの栽培方法は、畑をできるだけ自然の状態に戻し、
  そこに豊かな生態系を構築することで、
  農薬や肥料のかわりとするということだった。
  いわば、りんごのちからを活かし、
  自然のちからを活かす方法だ。
  職業は「りんご手伝い業」と言っていたが、
  まさにそのとおりだと思った。

  できるだけ自然の状態でりんごを育てる。
  いたって当たり前そうなことを実現するために、
  8年もの歳月がかかったというのは驚きだった。
  むかしむかし、もともとは自然に実っていたものを、
  味や量を追求し、人が改良を加えていった結果、
  もはや自然の状態では育てられなくなってしまった
  というのは、なんか考えさせられる。

  もうひとつ。
  彼の「りんご手伝い」で重要なことのひとつは、
  農薬がわりの酢を散布する際、機械を使わないことだという。
  機械とは、スピードスプレイヤー(エスエスと呼ばれる、らしい。T氏談)
  細長シルエットの乗用農薬散布機だ。
  実家(駿河湾に面した県)ではみたことがなかったのだけど、
  こっち(8県に囲まれた県)では頻繁に見かける。
  最初は何の機械かわからなくて、最近やっとわかった。
  そのエスエスで酢を散布すると、タイヤで地面が踏み固められてしまい
  りんごの木によくないため、面倒でも手作業で散布するのだという。

  自然の状態でりんごを育てるためのポイントが
  機械か手作業かという、一見ささいなところにあったわけだ。

  りんごに限らず、物事の本当に大事なことってのは、
  そういうささいなことに潜んでいるのかもしれない。
  それを大事に、おぼえておこうとおもった。

永田先生も、木村さんも、見ているところは同じなんだと思います。
あまり過保護に育てず、野菜やりんごの力を伸ばしてやる。
そんなことではないでしょうか。

そんな当たり前に思えることが、当たり前の農法ではなかった事実。
そして、当たり前と思えることを実現するために、
長い年月を費やし、大変な苦労をなさったということ。

本当に頭がさがります。

ああだこうだと、えらそうに書いてますが、
やっぱりね、生産者ってすごいと思うんですよ。
私はただの消費者ですから。
そういう面では、永田先生も、木村さんも、それ以外の生産者も、
私にとっては同じように、尊敬の対象です。

ただ、見習いたいと思うのは、
永田先生や木村さんが、
自分が信じた道を、突き進んだということ。
たとえそれが業界の当たり前から外れていたとしても、
たゆまぬ努力をつづけたということ。

そして肝心なのは、そうして出来上がった作物が、
めっぽう、うまい!
ってことでしょう。
それに尽きると思います。

ここで、永田さんの言葉を引用したいと思います。

    食べ比べてもらえば味の違いがわかるはずなんです。
  環境に良いからといって、美味しくないものを薦めても、
  ほとんど売れないと思います。
  でも、永田農法の野菜は間違いなく一番うまい。
  それを知ってもらえば、多くの方が永田農法の野菜を買ってくれるはずです。
  需要が増えれば生産者も永田農法に注目するようになります。
  そうした結果として農業による環境破壊を少しでも抑えることができる、
  こうした流れを作りたいんです。
                                    (全文はこちら

おいしくて、環境に良い。
という順番がいいのだと思います。

建物も、
 美しくて、環境に良い。
 たのしくて、環境に良い。
というところを目指せばよいのかもしれません。

〈ストックのある風景〉
P1000669
2008年新シリーズです。

民家の塀の前に積まれた瓦。
おそらく修繕用にストックされたものでしょう。
瓦としては、まだ出番をまっている状態なのですが、
その姿が、すでに「よい風景」として
仕事をしています。

こんな「美しい」と思えるストック:在庫のある風景を
ぼちぼち紹介していきたいと思います。

西山哲雄

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