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2007年5月 8日 (火)

2.小茅と大茅 ~地上では大茅がつよく、屋根では小茅がつよい。

今回は、茅のはなしです。

「茅」を広辞苑(電子辞書)でひくと、

 【茅・萱】
 屋根を葺くのに用いる草本の総称。チガヤ・スゲ・ススキなど。

とあります。
要するに、茅という植物は存在せず、
ススキやなんかが、屋根に乗ったときに茅になるわけです。
だから、茅場に生えている茅も、その時点では、茅ではないのです。
茅になるべく、育てられている草とでもいいますか・・。

茅として一番ポピュラーなのが、ススキです。
おそらく、日本全国に生えているからでしょう。
他には、葦や麦わら、稲わらなどがつかわれたようです。
ススキや葦といった植物は、刈れば来年また生えてきます。
毎年決まった量を確保できるということも、茅として大事なことかもしれません。

牧の入茅場に生えている茅は、小茅(こがや)と呼ばれています。
ススキは大茅(おおがや)と呼ばれ、ここでは屋根には葺かれません。
(ですから厳密にいうと茅ではないんですけどね。)
では、小茅とは何か?
調べてみると、ススキと同じススキ属の植物、
「オオヒゲナガカリヤスモドキ」だとわかりました。

大茅は小茅にくらべ、繁殖力が強いらしく、
小茅の茅場を維持するためには、大茅を駆除する必要があります。
繁殖力の弱いほうを育てるわけですから、手間がかかるのは当然です。

ここで、ひとつの疑問がわきます。

 なぜわざわざ、小茅を育てるのか?

簡単にいってしまうと、小茅で葺いた屋根のほうが長持ちするんです。
一般的に、ススキで葺いた屋根の寿命は、20年から30年ほどです。
それに対し、小茅の屋根は、50年から60年もつと言われています。
ですから、わざわざ手をかけて、小茅の茅場を維持してきたわけです。

同じ茅のうち、一方を絶やし、一方を育てる。
このことが、僕にはとてもおもしろく感じます。

Img_1655

9月の茅場です。
白っぽく見えるところは、大茅です。
昔は見渡す限り小茅だったとのことですが、
今は、年々大茅が増えてしまい、悩みの種になっています。

Img_1650  Img_1651

小茅の穂(左)と大茅の穂(右)です。
写真ではわかりませんが、
大茅のほうが、丈もあり、いかにも強そうです。

〈本日の法面保護〉

P1010350

前回のものと原理は同じです。
こちらのほうが、より弱そうです。

西山哲雄

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