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2007年1月25日 (木)

着陸以前 その三

 

写真館の基礎は、石でした。

掘り出してみると、一人ではやっと動かせるかどうかという大きな石。

丸くて手が引っかかるところがないもんだから、転がすだけで一苦労でした。

先人は、どうやってこの石をここに置いたのだろう?

疑問に思いました。

しかもただ置いてあるわけではなく、上に土台がのるように平らな面を上にし、

石同士を同じ高さに据えなくてはならないのです。

さらに石の下や周りには細かい石を配置しておき、安定性を高める。

重機のない時代に、どうやってこの作業をしたのでしょうか。

便利になるということは、それまでに培ってきた技術や知恵を手放すことなのかもしれません。

こうして写真館は、石の上からコンクリートの上へうつったわけですが、

考えてみれば、木造住宅にコンクリート基礎が使われだしたのって、そんなに古い話ではないですよね。

不勉強で正確なところはわかりませんが、写真館を例にとっても、

この建物を建てる時にはまだ、石を利用していたわけです。

現在つくられる住宅で、コンクリート基礎でないものはほとんど存在しないでしょう。

コンクリート基礎が‘当たり前’になっています。

しかしほんの何十年か前には、これが‘当たり前’ではなかったのですから、

木造住宅の歴史からみれば、石であった期間が圧倒的に長いわけです。

あたりまえって何なのか、わからなくなります。

今のあたりまえが、ほんとうにあたりまえなのか、

考えてみる余地は、ありそうです。

最後に、‘最後の宮大工’西岡常一の唯一の弟子である、小川三夫氏の言葉を引用します。

  自分らがつくった建物は千三百年は持ちません。

  材料も基礎も違う。俺らは基礎にコンクリートを使うけど、

  法隆寺はコンクリートを使っていないものな。

  法隆寺は地盤がすばらしくいい。

  表土を一メートルぐらい掘るだけで硬い地盤が出てくる。

  西岡棟梁は「ツルハシもたたない」と言っていました。

 (西岡常一、小川三夫、塩野米松『木のいのち木のこころ〈天・地・人〉』新潮社)

Img_2683_2

写真館 以前の基礎

西山

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